Skip to content

理論編

ユイ: 結論編はわかりやすかったんですけど、世の中にはいろんな情報があふれていて、惑わされそうです...。

ハヤト: そうですよね。だから、理論編で知識武装をしましょう。「インデックスファンドをひたすら買うだけで99点を達成」できるのに、多くの人が「もっとよい成績をとってやろう」と思ってしまい、余計なことをして、投資効率が下がってしまうんです。

ユイ: なるほど。まず、基本的な考え方を教えてください。

ハヤト: 重要なポイントは、

  • 株価はランダムウォークしながらも長期的には右肩上がり。
  • インデックスファンドは株式市場をまるごと買う行為。
  • すべての情報は市場に織り込み済み。
  • 株価はいつだって「適正価格」。
  • 市場平均に勝とうとすると、コストがかかり、長期的には負ける。
  • 長期的に市場平均に勝てる個人投資家はほぼいない。
  • 個人投資家が長期でとれる最大の成績は「市場平均」。

です。

ユイ: 市場平均って、なんか弱そうに聞こえるんですけど...。

ハヤト: 市場平均は、プロ中のプロである巨大な専門機関のトップクラスたちの成績の平均です。インデックス投資は、彼らの平均点を、努力なしでいただけると考えれば良いでしょう。

ユイ: なるほど!99点というのはどういう意味ですか?

ハヤト: 理想的な運用ロボットがいたとして、そのロボットの成績をXとした場合、0.99 * Xくらいの成績を手間をかけることなくとりましょう、という意味です。

ユイ: 時価総額加重平均に基づくインデックスファンドが良い理由は何ですか?

ハヤト: 理論上、時価総額加重平均インデックスに基づくポートフォリオがもっとも投資効率がよいポートフォリオとされています。

ユイ: 「平均」という言葉に惑わされそうです...。

ハヤト: 「市場平均」は単なる「みんなの点数を足して人数でわった平均点」ではなく、「株式市場でとれる理想的な平均点」です。「長期的にはクラスで一番の成績をとる人」というイメージです。

ユイ: リスクは気にしなくていいんですか?リターンだけ追求すればいいのでは?

ハヤト: いいえ、リスクは資産運用の敵です。リスクは「平均値」(期待リターン)には影響を与えませんが、「中央値」(上位50%の成績)に影響を与えます。

ユイ: どういうことですか?

ハヤト: 例えば、リターンが同じ5%でも、リスクが5%のファンドAと、リスクが20%のファンドBでは、成績の分布が異なります。

(ここに、return-5-risk-5-pdf.png, return-5-risk-20-pdf.png, return-5-risk-5-var.png, return-5-risk-20-var.png の画像を表示)

ハヤト: リスクが高ければ高いほど、多くの人が左側に偏ってしまいます。期待リターンよりは、むしろ中央値のほうが「信頼」できます。

ユイ: なるほど、リターンが同じなら、リスクが小さいほどいいんですね。

ハヤト: そうです。資産運用においては、リターンをリスクで割った値、いわゆる「効率」がもっともよいのは、時価総額加重平均インデックスです。

ユイ: 長期投資でリスクは減るって聞きましたけど?

ハヤト: 残念ながら、長期投資で「ブレ幅」は時間とともにどんどん拡大していきます。「長期投資しても成績が一定の値に収束するわけではなくて、むしろ成績のブレはどんどん広がっていく」が正しいです。

ユイ: でも、長期投資すると元本割れリスクは減りますよね?

ハヤト: 「長期投資をして元本割れする確率は減らしたい」のであれば、「良質な商品つまりもっともシャープレシオの高い商品であるインデックスファンドと現金でアセットアロケーションを組みましょう。」が正解です。

ユイ: 為替リスクはどうですか?

ハヤト: 例えば、S&P500インデックスのリスクが20%、ドル円の為替リスクが10%とすると、トータルのリスクは単純に足した30%ではなく、22.4%になります。

ユイ: なるほど、必要以上に恐れる必要はないんですね。

ハヤト: そのとおりです。